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無音で怒鳴り散らす小さいおじさんを目撃した雨の日の日曜日

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その日は日曜日で、雨が降っていました。

僕は友達と出かける約束をしていて、家から少しのところで友達の車を待っていたんですね。

僕の背には車が横に5台ほど並べるぐらいのスペースの小さな駐車場があり、目の前には道路を挟んで小さな丘のような林が広がっていました。

その林は道路から2mほど高くなっており、コンクリートブロックの壁で道路側の表面が覆われていました。

僕がいたその場所は、ちょうどコンクリートブロックが途切れており、7段ぐらいの小さな階段があったんです。

ビニール傘に雨粒が当たる音にどこか懐かしさを感じながらスマホをいじっていると、その階段に何やら人影が見えました。

その階段へはどのようにしても一度僕の目の前を通らなければ行くことができません。

「スマホに夢中になっていて気がつかなかったのかな?」

ビニール傘越しにその方向をちらっと見てみると、そこからの景色はモザイクがかかったようでした。

僕がいる場所からその階段へは、道路を挟んでおおよそ5mほどの距離がありました。

どうやら、その階段に座っている人がいるようでした。

そっと、ビニール傘をずらし、直接覗いてみる。

すると、そこには小学生ぐらいの身長の、黒い服に身を包んだおじさんが座っていました。

階段の中段付近、端っこの方にちょこん、と。傘もささずに。

『うわっ……!あれ、絶対変な人だよ……!』

サッと再びビニール傘で自分の顔を隠した僕は、ちょっと驚きつつも、「絡まれたらどうしよう?」などと考えていました。

僕は決して目がいい方ではありませんが、その男は髪が薄く、顔はどうみても40〜50代のおじさんでした。

しかし、体は細く、小さい。多分、小学3年生ぐらい。すごくアンバランスに見えました。

顔が大きくて、体が小さい。まるで、パワプロくんのような、コナンくんのような姿。

「もう一度見てみよう」

一度は目をそらした僕でしたが、じわじわと湧き上がる好奇心には勝てません。

「……見ちゃえ!」

再びビニール傘を少しずらし、その方向を見てみる。

すると、やっぱり黒いおじさんが座ってる。すごく、アンバランスな。

僕の方をじっと見つめてるんですよ。こっちを指差して。

さっきは勘違いかと思ったけれど、そのおじさん、怒ってるんですよね。

なんていうんですかね、怒ってる人って音がなくても身振り手振りで怒ってる様子ってのがなんとなくわかるじゃないですか。あれです、あれ。

おじさん、怒ってるんですよ。傘もささずに、階段に座ったまま、こっちを指差して怒ってる。

でも、無音なんです。まるで、そこに人がいないような感じで……。雨の音しか聞こえないんですよね。

表情も、身振り手振りも、オーラでは怒ってるのに、空気が全く振動しない。音が全然聞こえないんです。

だけど、やっぱり怒ってる。

「何か悪いことしたかなぁ?」

関わるのは怖いと思ったので、再びビニール傘で顔を隠し、スマホに目を移す。

それから1分後ぐらいに友達の車が到着して、私はそこへ乗り込みました。

車が発進するときに、窓越しにその階段の方をちらっと見てみたんです。

でも、やっぱりいる。

おじさんが座りながら、まだ、こっちを指差しながら怒ってる。見えなくなるまでずっと怒ってました。

これがまた不思議な話なんですけど、あのおじさん、全然濡れてなかったんですよね。

あんなにどしゃ降りだったのになぁ。